こんにちはメガネのイザワです。
今日は眼鏡の度数に関してお話しようと思います。が
眼鏡というのはピントを合わせるための補助器具に過ぎません・・・
眼鏡を掛ける方の眼にある度数や使用環境、目的距離など様々な要因を複合的に検討して「ピントをどこに持って行くか?」を作るものです。
先日、YouTube動画にコメント頂いた内容がありまして、
「仕事でパソコンの画面の見る際に眼鏡の度数S-1.50を掛けているが文字のボヤケがあるのでS-1.75の眼鏡を掛けるとボヤケが解消されます。このような時にはどちらの眼鏡の方が合っているのでしょうか?」
という内容でした。
我々の感覚だと、この文章だけでは実際に合っているかどうかは全く分かりません・・・
でも一般の方の素直な認識を知れるとても良いコメントをいただいたと思います♪
眼鏡屋のブログとか説明を聞くと専門用語や眼鏡屋の常識などが多く含まれる為一般の方はわかりずらいと感じているケースが大いにあるかと思います。
対面で質問されたときにはまずは眼にどのくらいの度数があるのか(近視遠視乱視、調節力)を確認し、さらに「パソコン」という部分がどの様な環境を指しているのかを確認できます。
その「どのような環境」というのはまずデスクトップPCなのかノートPCなのか?
その画面は作業時にどのくらいの距離で見ているのか?
例えばノートPCの場合普通にキーボードに手を置いて通常の姿勢で使用する場合は大体40cm辺り
ノートPCのキーボードと自身の間に書類などを置きそれを見ながら作業をするとなると画面の距離はそれだけでも少なくとも60cmくらいにはなります、そして書類は手元に置いてあるのでそれを見る時には35cmくらいにはなるかと思います。
逆にノートPCは一般的な位置に置いて作業するとしても書類を見る場合にその横に置いてみながら作業するとなるとモニターは40cmで書類を見る時には側方視(わき目?)をしながら見るとしても50cmくらいは離れた位置になるかと思います。
デスクトップPCの場合、最近は画面が大きい物も一般的になってきていさらにデュアルモニターなど複数モニターで使っている方も増えてきました。
ゆったり目で見る方は80cmくらい、複数モニターの方は一番離れてるモニターで考えると100cmくらい離れる事もあるのではないでしょうか?
さらに作業内容がどういう物か?テキストを主に扱うのか?グラフィックを扱うのか?
フォントはどのくらいのサイズで見る必要があるのか?等など正確に条件を把握しようとするといくらでも出てきます・・・
「遠くを見る」事に関しては比較的誤差が合っても許容できる事が多いですが、見たいものが近くになればなるほどその誤差の許容範囲が狭まってきます。
今回上記のコメントをいただいた時の私の返信はこのようにしました↓↓
早速、〇〇さんの眼にある度数や調節力を調べて、さらにデスクワーク時の環境がモニターまでの距離が何センチなのか?モニターだけに合わせればいいのか?その他書類等見る場合はその距離がどのくらいか?はたまたモニターだけではなく周りも見渡したりする場面もあるのか?などなどを把握する必要があります。
ひとり一人の見え方をカスタマイズするためには実際にここら辺を含む眼鏡検査をさせて頂かない事には正確な事は申し上げられない部分はあります。
ここからはあくまで想像を主体に考えた場合なので参考程度に聞いていただきたいのですが計算上で調節力を考えないで行くともともとの眼にS-3.00だったと仮定します。
①その眼に対して「眼鏡の度数S-1.50」を掛けるという事になると(目の度数S-3.00)+(メガネの度数S-1.50)=残った度数はS-1.50になります。
②そして同じ感じで(目の度数S-3.00)+(メガネの度数S-1.75)=残った度数はS-1.25となります。
この時の理論上の焦点距離を考えると
①残った度数S-1.50は焦点距離が約66cm
②残った度数Sー1.25は焦点距離が約80cmという事になります。
ここに一般的な「年齢別調節力」という物を当てはめてみます(年齢別調節力は一般的な平均値で個人差が大きく出る場合もありますので参考値)
45歳=3.00D
50歳=2.50D
60歳=1.00D
なので
①45歳=遠点が66cm~近点22cm
50歳=遠点が66cm~近点25cm
60歳=遠点が66cm~近点40cm
②45歳=遠点80cm~24cm
50歳=遠点80cm~27cm
60歳=遠点80cm~44cm
という感じになります。デスクトップモニターまでの距離が80cmくらいに離れているという事でかつ今回私の予測値である「元の眼の度数S-3.00」という物があっているとしたら、〇〇さんが仰っている「メガネの度数S-1.75の方がぼやけて見える事が解消する」という部分は整合性が付く部分かと思います。
そこで後はご年齢の部分ですが
45歳くらいであれば②の合わせ方で80cmのPCモニターをカバーしつつ手元の資料を見る時、一般的な読み書きの距離は35~40cmくらいとした場合にはカバーできるかと思いますが、
60歳ころだった時には②の合わせ方だと手元の書類が見えにくくなることが想定されます。もし単焦点レンズでカバーしようとするならば①の合わせ方でPCモニターを66cmくらいまで寄せて、手元の書類等40cmくらいで見える事になります。
コメントいただいた内容にかなり私の想像を多く含んでこのような感じになりますので冒頭申し上げたように実際に見させていただかないと「どちらが良いか」というのはお答えできません、申し訳ありません。ただ上記のような部分を参考にしていただければ「どのような対応をするべきか?」が見えたら良いなと思いますので参考にしてみてください
結構な長文になりましたが、眼鏡を正しく合わせるうえで前提条件が明確にわかっていないとこのような状態になってしまいます(笑)
たまにショッピングモールの催事場とかで既成老眼鏡を販売しているところを見かけます。
既成老眼鏡はあくまでも屈折異常(近視遠視乱視)がない正視の方を基準として作られています。
正視かどうかもわからない状態でその場で手元の文字が見えるか見えないかの自己判断だけで購入するのは「ちょっと怖いな」と個人的には思ってしましますが、まぁ値段も値段なので「無いよりマシ」と使っているかも多いのではないでしょうか?(笑)
本職的に細かい事を言えば、左右の黒目の位置「瞳孔間距離」(PD)と言いますがこれも合わせるわけではないし、何よりもコスト的にレンズ素材がアクリルという素材を使っていることが多く眼鏡用のプラスチック素材と比較すると光学性能も劣ります。
長時間の使用とかはもともと想定していないのかもしれませんが、このような部分が「見えない物が見える」けれど「眼にストレスを与えてしまう」可能性もあるかと思います。
既成老眼鏡を買うにしてもまずは眼鏡屋に相談していただければそもそも既製品でカバーできる状態なのか?等もお答えできますので是非お声がけいただければ幸いです。
眼鏡合わせというのは本当に奥が深い物なので、そういった部分が眼鏡を使う消費者にもっと伝わると良いなぁと思いYouTubeもやっていますので是非ご覧いただけると嬉しいです。
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