こんにちはメガネのイザワです
今日は遠近両用と視線についての考え方です
遠近両用と視線とは?
そもそも遠近両用は使いづらいとか慣れにくいと聞いたことがある方も多いかと思います。
確かに遠近世代に入るまでの眼というのは非常に高性能でカメラで言うとフルオートのように比較的広い環境で様々な調節を行いストレスなく物を見せてくれます。
角膜は視界の広い収差の少ない光を通し、虹彩(瞳孔)は光の量を調整したり焦点深度を変化させたり、水晶体で瞬時にピントを補正し網膜で光刺激を感知し明るいところでは高解像度の映像を。
照度の比較的低い環境では解像度こそ損なわれますが少ない光刺激を視神経から脳へ伝達してくれて初めて人間は物が見えるという状態になります
その中で人間の眼は年齢とともに水晶体の調節力が減衰していくことが一般的です。
実はこの調節力の変化というのは20代頃からすでに始まっていると言われていて、日常生活で支障が出るのが概ね45歳くらいからと言われています。
もちろん統計上の話なのでひとり一人の個人差はある事と、生活環境によっても差はあるかと思います。
一般的な読み書きの距離がだいたい35~40cmくらいと言われていて正視の方がこの一般的な読み書きの距離が見えにくくなる事を老視とされています。
ただ現代の視環境というのは必ずしも近く=35~40cmと言うのが当てはまらない場合も多くなってきました。
ちょっと話は飛びますが現代の視環境
ちょっと話は脱線しますが、現代の視環境という物は昔よりも様々な目的距離が増えてきたと言っても良いかもしれません
例えば「近くを見る」状況を考えても
- デスクトップパソコンを見る 45~70cm程度
- ノートパソコンを見る 35~45cm
- 文庫本を読む 30~40cm程度
- 新聞を読む 40~70cm程度
- スマホを見る 20~30cm程度
もちろん個人差もあり体格の違いによってもこの距離は異なるかと思いますが、特にデスクトップパソコンは液晶画面が主流となり目的によっては大型化されているので、その分結構離して使う方も多くなってきたと感じます。
私がパソコン使いだしたころなんてブラウン管の14インチとかそのくらいが主流でしたが現在は液晶の21インチ~27インチくらいを使っている方も良いのではないでしょうか?
あともう一つはスマホの普及です。
ニュース等でも一時期取り上げられることが多かったスマホ老眼なんていう言葉も聞いたことある方は多いのではないでしょうか?
まぁ「スマホ老眼」事態は今回の内容とは違うのでまたの機会にお話ししようと思いますが、スマホを見る距離が概ね20~30cm程度と考えると近くを見るために眼にかかる負担は大きくなります。
寸法だけで見ると「文庫本を見る距離とスマホを見る距離の差が10cmくらいの違いなら、デスクトップパソコンをと文庫本見る距離の差の方が大きいんだからそっちの方が負担が大きそうじゃん?」と考えられなくもないですが、実はピントは近くになればなるほど距離の違いはシビアになります。
こちらは正視の方が限られた距離を見る際に必要になる調節力を10cm刻みでグラフ化したものになります。
100~90cm辺りは必要な調節力の変化は少ないですが30~20cm辺りになると1.5倍くらい、20~10cmは2倍になります。
このことから少し離れた距離の10cm程度の差は誤差に過ぎませんが、近くになればなるほど1~2cmの距離の違いが大きく必要な調節力が変化することがわかるかと思います。
話を本題に戻し遠近両用の視線
老眼世代と言われるよりも前の眼はいろいろな環境に柔軟に対応できるというのは先ほどもお話しましたが、残念ながら遠近両用自体はそんなに自由度は高くありません・・・
その事からも遠近両用をお作りになるときは明確な使用環境、ライフタイル的にウエイトの高い視環境をお伺いできるとそれに合わせて設定することによって満足度が高くなるかと思います。
度数的な設定を考慮することはもちろんですが、どのような視線で物を見る事が必要か?という物も考える必要があります。
一般的な遠近両用の設計は視線がまっすぐ前を向いている時に遠方度数が入り、そこから近くを見るために視線が下がってきたときに近方度数が入るように設定されています。
まず一つはこの度数の変化する距離という物が最近では選べるレンズが増えてきました。
たとえはこの累進帯長という部分が16mm~10mm程度で指定ができます。
メーカーやレンズグレードによって細かく指定ができるものから「13mm、11mmどちらかお選びいただけます」と選択できるものがあります。
「たかだか2mm?」と思われるかもしれませんがこの目先の2mmはその先を見るのには大きく影響するのです
そして私生活を考えるというのは例えば、普段運転してる車のタイプによっても検討が必要です。
下のイラストのように乗用車タイプとトラックタイプでは視線の角度が異なります
ここら辺を考え出すと乗用車タイプに限定しても、今度は運転するときの姿勢も考慮する必要があります
シートをきっちり合わせて姿勢よく乗ることが多いのか?少し背もたれを倒し気味ゆったりと運転することが多いのか?
デスクワークが多い方でもデスクトップをメインで使っているのか?
ノートパソコンがメインなのか?でも考え方が変わってきます。
私たちもなるべく一本の眼鏡で幅広くカバーしたい
私たちもなるべく一本の眼鏡で仕事を含めた日常生活を幅広くカバーっしたいとは思いますが、どうしても遠近両用の弱点と年齢を重ねた人間の眼の弱点という物が弊害になってしまう事はあります。
現在では目的距離別に眼鏡を使い分けていただくケースも増えました。
眼鏡を使う方ひとり一人の環境に適した状態で快適にストレスなくお使いいただける眼鏡を提案できるように頑張りますのでぜひメガネのイザワにご相談ください。