こんにちはメガネのイザワ 伊澤康一郎です
昨日書いたインディビジュアルレンズにちょっと通じる話ですが、お客様からたまにある質問で
「安いレンズと高いレンズ何が違うの?」
お客様からすれば素材的には同じプラスチックだしなんでそんなに価格に差があるんだろう?と疑問に思うのは当然です。
私も知らない時代にはそう思ってました(笑)
まぁ実際に極端に安いレンズの場合は安い理由を挙げれば一つではないんですが・・・
企業努力などによって安く作る方法はたくさんあります。
まず工業製品全般に言えることは「同じものをたくさん作る!!」これは量産品の基本中の基本ですが、レンズの場合量産品になると射出成形になりますかね?
モールドという型に溶かしたプラスチックを射出して固めてそれにコーティングをかけて出来上がり
モールドさえあれば何枚でも同じものがつくれます。
ただメガネレンズの場合お客様の目にあった物を右と左それぞれに合わせます。
例えば洋服のサイズのようにS.M.Lの3サイズから選べればなんの苦労もないですが・・・
例えば近視の度数、0.25~ー6.00まで0.25刻みで在庫すると24枚(パターン)
それに乱視度数入りが入るとC-2.00まで在庫すると216枚(パターン)
それぞれ一枚だけ作るわけにはいかないので各100枚作るとすると21600枚
まぁレンズの量産品という部分で各100枚じゃ利益は出せないと思うのでもっと作るとは思いますけど、だいたいレンズメーカーが通常在庫として持ってるところで考えてこの枚数です・・・
一人2枚使うことになるので10800人のお客様へメガネを作らなければいけないということですね。売れてる安売り量販店さんとかなら3ヶ月位で消費してしまうかもしれませんが、我々個人店では2年位かかるかも(笑)
じゃぁ量販店で買ったほうがいいのか?と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、ちょっとこの計算での落とし穴があります。
それは作ったレンズにお客様の目が合えばうまくいってこれで消費できますが・・・
そんなはずはありません。
じゃぁどうするか?
お客様に納品までお待ちいただくか、それに近い度数でメガネを作ってしまうか・・・
まぁここはあくまで可能性の話です。決して量販店さんがやっているという話ではありません。
それに我々もレンズメーカー在庫レンズは普通に使います。
ちょっと話それましたがまずは量を作って安くする方法。
あとは素材で安くする方法。
基本的にはレンズのベース素材というのは全世界的に限られています。
なのであんまり変なことはできないはずですが、昔の海外生産のレンズは不純物が入っていたり品質が不安定だったりなんていうのは聞いたことあります。
ただこれは製造工程上たまたま入ってしまったものなのか?カサ増しなどの為に起こったことなのかはわかりませんが昔の海外製と国産の品質の違いはそういうこともありました。
そしてこれを踏まえてこれからはどちらかというと高くなってしまう部分
現在出回っているメガネ用レンズ(サングラス等除く)は多層膜というコーティングが付いています。
基本的なものを上げるとハードコート、水垢防止コート、反射防止コートなどです。
最近では撥水コート、耐摩傷コート、裏面UVコート、近赤外線カットコート他にもまだあります。
最初の基本的なコートをつけるにあたっても耐久性を上げるためにひと手間もふた手間もかければ販売価格に反映します。
そして冒頭にお話した在庫範囲外のレンズは研磨レンズと言って受注してから削ってコーティングをかけて出荷します。
この先は最近の技術によって更に度数だけではなく装用距離や角度などを補正して作るインディビジュアルレンズ(フルオーダーメイド)です。
従来の研磨方法ではこの複雑な加工は不可能でしたが最新の研磨機械はそういった加工も対応できるようになってきたので世に出るようになりました。
陶芸のロクロをイメージしてみてください。
ロクロに乗せた粘土がぐるぐる回っているところを作っていきますがお茶碗や湯呑などまん丸のものを作るのは簡単ですよね。
マグカップなどは本体作るのは簡単にできますが手をつけるのは別ラインでひと手間増えます。
ここまでは量産品の範疇ですが、フルーダーメイドとなるとロクロでは作れません。
立体的にレンズ面に地図の等高線を書くように繊細に切削できる機械じゃないと作れないんです。
一枚一枚細かな指示のもとに作るレンズはやっぱり製造コストも跳ね上がりますね。
あとは度数や装用環境によってほんとにインディビジュアル(フルオーダーメイド)が必要かどうか?ですよね。
そこらへんの必要性があるかどうかの考え方などを伝えられるような文章が思いついたらまたブログ書きます(笑)
写真はお店の検査レンズです。
認定眼鏡士と認定補聴器技能者のいる店 メガネのイザワ
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